SPEAKER INTERVIEW|スピーカーインタビュー

スピーカー

第7回(🇫🇮フィンランド)
「学び、考え、動いた私のスクールライフ
〜渋谷、国立、そしてヘルシンキへ〜」
小山 栞奈 さん
一橋大学社会学部4年
インタビュアー:神武直彦(慶應義塾大学教授)

2023年度になり、Global(グローバル)の1語を加えて名称をアップデートして新しくスタートした“KITE Global Project”。最初のスピーカーは、一橋大学社会学部で都市緑化の研究に取り組まれ、現在フィンランドのアールト大学に留学されている小山栞奈さんです。

KITE Global Projectと名称をアップデートして新しい試みを始めるということと、小山さんが通われていた高校と私たちの研究室での連携プロジェクトの関係で、小山さんとはご本人が高校1年生の頃からよく存じ上げているということから、私、神武がインタビューを行いました。

副題に含まれる「渋谷」「国立」「ヘルシンキ」は、小山さんが学ばれてきた渋谷教育学園渋谷中学高等学校、一橋大学、アールト大学がある街の名前です。生まれてから現在に至るまで、東京に住み続けてきている小山さんは、渋谷にある中高に通いながら陸上競技や英語ディベート、短期留学などやりたいことに全力投球しながら、街や都市の違いや変化に興味を持つようになったそうです。そして、その頃、小山さんの高校と東京大学空間情報科学研究センター柴崎研究室と慶應SDMの私たちの研究室の連携で、渋谷の課題解決の調査と解決策のデザインを高校生がグループワークで行うプロジェクトを行う機会に恵まれました。そこで、小山さんのチームは原宿竹下通りのポイ捨て問題に取り組み、ポイ捨てを行わない方法を考え、そのためのラップソングを作って区長をはじめとする渋谷区や商店街の方々に提案をされました。また、それをきっかけに地方の都市に興味を持たれた小山さんは慶應SDMと関係のある長野県白馬村を慶應SDMの大学院生と共に訪問し、白馬高等学校に5日間滞在され、多くの学生に対してひとりでワークショップを開催されました。それらの経験を経て、社会とつながる研究の魅力に気づき、その興味を突き詰めるために社会科学分野の日本を代表する総合大学である一橋大学への進学を決め、日本とは違う街で暮らし、考え、行動してみたいと考え、アールト大学に留学されているそうです。

●長野県白馬村でフィールドワークを行う高校時代の小山さん
(写真は小山さん提供)

●フィンランドのアールト大学での授業風景
(写真は小山さん提供)

小山さんの素晴らしいところは、色々なことを俯瞰的かつ緻密に考えながらも、まずは行動してみるということを大切にしているということ。そして、最初は人よりもうまくできなくても、それを受け入れて何度でもやってみるということを大切にしていること。そのことは、高校1年生の頃から変わっていないように思います。

当日は、ご自身が幼稚園児、そして小学生だった頃のことからお話を頂きます。「ガキ大将」と言われた幼稚園児時代からアールト大学で毎日を過ごす現在に至るまでに、考え、行動されてきたことのお話、是非、楽しみにして下さい。インタビューをしていて、小山さんのような方が増えれば日本が、そして、世界がもっと元気になるなと感じました。

当日答えきれなかった質問の回答

フィンランドが世界で1番素敵なところを教えて下さい。
良い意味で野性の感覚を大切にしているところ。世代や出身地を問わず、冬の湖に入ったり、森でベリーやキノコ摘みをしたりする人がたくさんいます。どんなにテクノロジーや社会制度が発達しても、五感を使う時間を大切にしているのが魅力だなと思います。
フィンランドの「食」にはどんな特徴がありますか?
フィンランドの食材といえばサーモン、トナカイ、ベリーなどなど。普段は学食か自炊がメインなのですが、驚いたのはベジタリアン・ヴィーガンのメニューがとても充実していること。地球環境のために肉や魚を控える人が多いのだそうです。私も極力肉や魚を控えるようにしていますが、フィンランドの大豆ミートや豆料理はとても美味しいので案外続けられています!
文系と理系という分け方について、大学で勉強してみてどう感じていますか?
大学で色々な分野を勉強してみて、学問分野は文理という二分ではなくグラデーションに近いと感じています。例えば私が学んでいる社会科学という分野は、勉強する内容は国語や社会に近いですが、それを研究するためには数学の知識を使うこともあります。だからこそ、色んな分野に興味を持って勉強してみることがいつか別のところで役に立つかもしれません。
まだ興味があることを見つけられていないのですが、進路を決めるためのアドバイスが知りたいです!
“まずはとにかくやってみる!”を続けること、これに尽きると思います!今私は大学で都市緑化をテーマに勉強していますが、それは高校生のとき「よく分からないけど面白そう!」と参加したプロジェクトでたまたま町づくりの楽しさを知ったのがきっかけです。全ての選択肢を試すことはできないからこそ、あまり深く考えすぎず、少しでも面白そうと思ったことに積極的に挑戦してみることで、自分の“好き”にきっと出会えるはずです。