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【10期】2018年春修士過程修了

田中 結美

たなか ゆみ

埼玉県出身。たまたまテレビで見た航空管制官に憧れ運輸省(当時)を受検するも不合格となり、同じく航空管制官を養成している航空自衛隊に入隊。組織体質が肌に合わず資格取得後に退職するつもりが政府専用機要員の話があり新たな道へ。10年間の在籍中に約45カ国を皇族や政府要人とともに訪問。任期満了とともに退職するつもりが味覚の地福岡への異動、さらに首都東京への異動となる。東京勤務中に人生や世界観について深く考えさせられる出来事があり一念発起してSDMへ。SDM修了と同時に退職するつもりが想定外の内閣府へ出向となり、アフリカで勤務するという貴重な経験を得る。結局、航空自衛官として長らく勤務して現在に至っている。

研究タイトル

「市民協働によるドクターヘリ着陸援助を可能にするパイロットとの視覚的コミュニケーションプロセスの設計と検証」

研究の概要

空飛ぶクルマが社会実装される際に課題となる安全確保について、航空管制官及び運航管理者の経験を元に研究。空飛ぶクルマが身近な市民の足として発展していくためには市民の信用と協力に加えフレキシブルさが重要である。特に災害時はフレキシブルさに加えタイムリーさが要求される。この際、従来の「官」を待つことなく「民」の力を活用できればこれが実現できるのではないかとの仮説を立て、ドクターヘリを空飛ぶクルマに見立て、一般市民でも行うことのできる着陸の安全確保プロセスを設計、検証した。

SDM的ポイント

「空を飛ぶもの」の新規参入により、航空管制や運航管理のあり方が大きく変わろうとしている。空飛ぶクルマはドローンの発展版として世界的に実証実験が進められている。このため、先行研究としては技術的アプローチによるものが多く、航空管制及び運航管理については従来通りの官営か、AIなどによる自立運航を前提としている。本研究では、誰も疑わないこの前提が緊急時の混乱や遅延を招く可能性があることを指摘し、今まで話題にされてこなかった一般市民を活用することを提言、その有用性と実現可能性を検証した。

慶應SDMで学んだことが
今の自分にどう役立っているか

SDM修士課程での2年間は、それまで出会ったことのない仲間たちや先生から多種多様な価値観や考え方をシャワーのように浴び、がちがちに固まっていた自分の殻から抜け出すことのできた貴重な時間でした。修士1年の頃は無我夢中で毎日必死な中でもどんどん視野が広がるのを実感し、修士2年では視野が広がりつつも逆に自分との対話が始まってどんどん自分を深堀りしていきました。SDMを修了した今はもっと視点が高くなって、より広い世界を見ることができていると感じています。それはまさに、「点」だったものが点と点で「線」になり、線と線で「面」になり、今では面が「立体」となっているような状況です。おかげさまで何事もどんと大きく構えられるようになりました。想像しなかった自分になれるというのどういうことかと入学時には思っていましたが、今ではこういうことかと日々実感しています。

近況報告

南スーダンで生活するなどとは夢にも思いませんでした。国連PKOには各国から女性も多く参加しているので、ジェンダー平等について考えたり観察するいい機会でした。
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