Sensing & Design Lab. SPECIAL SITE

OB/OGのご紹介

【12期】2020年度春修士課程修了

増渕 舜一

ますぶち しゅんいち

法政大学キャリアデザイン学部卒業後、慶應SDMへ入学・修了。現在はFintechのベンチャー企業であるナッジ株式会社に創業メンバーとして参画。ファンマーケティングに連動した次世代のクレジットカードのリリースに貢献。主な担当は、マーケティング統括及び与信スコアリングモデルのデザイン。また、大学発ベンチャー創業のアクセラレータープログラムを提供するインタンジブル株式会社や、さいたま市において教育関係の学習塾等でも活動している。

研究タイトル

被害家屋位置情報と周辺森林日射量を活用したシロアリ採集法の設計と評価
Design and Evaluation of Termite Collecting Method Using Terminated Timber Location and Solar Irradiance Data

研究の概要

慶應SDMのカリキュラムのひとつである「デザインプロジェクト(プロポーザー:宮崎県新富町)」の最終ソリューションは、シロアリ利活用の提案であった。それを社会実装するにはシロアリを養殖する必要があるが、現時点でその技術は確立されていなかった。そのため、自然界に存在するシロアリを効率よく採集するための方法をシロアリ被害のあった家屋の位置情報と日射量の2つのデータに注目し、これまでの採集方法よりも時間が短縮される効率化された採集法を設計・実装し、有効性が高いことを確認した。

SDM的ポイント

従来のシロアリの採集方法は採集者の経験や勘に基づきながら時間を要し、場当たり的作業となるため採集量が見込めなかった。本研究では、家屋の位置情報と好適環境条件を間接的に検知する日射量解析に着目した。この 2 つのデータの組み合わせによりシロアリの捜索範囲を限定することで、シロアリの存在する朽木特定を容易にするシステムを設計した。また、地理情報システム上に可視化することで、採集経験がない人においても既存の採集方法よりも時間短縮される方法を確立した。

この研究への神武先生のコメント

この研究は本人が修士1年生の時に取り組んたデザインプロジェクトで扱ったシロアリ利活用からくるシロアリ採集法の設計と評価であり、途中その研究の実施に本人も迷いが生じたように見受けられたところがあったが、採集的にやり切ったのは、この課題に直面している方々との継続的な交流があったからと感じている。研究室の特徴である、テクノロジー(技術やデータ)によるセンシングとヒューマン(人やコミュニティ)によるセンシングの融合によるシステムデザインにこだわって進められた典型的な研究である。シロアリ自体の行動特性が生物学的に明らかになっていないことも多々あるため、構築した手法については今後さらに改善や評価が必要であり、実用化にはすべきことが多々あると感じるが、研究成果もさることながら、その過程で、本人が愚直に物事を進めることや俯瞰的に物事を捉えることの大切さを感じ、成長できたことが大きな成果だったのではないかとその後の活躍を見て感じている。

慶應SDMで学んだことが
今の自分にどう役立っているか

SDM修了後、一旦離れてみると、物事を冷静に客観視することを意識するようになっていると思います。全体を俯瞰しながら、個別具体的に何が最適なのかを考える日々にまさに翻弄しています。新卒でベンチャーに入社して以来、裁量を多く任せてもらえるようになりました。それはとてもやりがいを感じるものの、自ら意思決定をしなければならない機会が多いものです。未知の課題に対する対処、未来を見据えた意思決定をする中で、SDMおよび神武研究室で学んだフレームワークを自然と頭の中で利用できているように思います。今後もこれまで学んできたことのリフレクションとアップデートをし、自身を研磨していきたいです。

近況報告

社長と一緒に出張で秋田に行ってきました。
OB/OG 一覧にもどる