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OB/OGのご紹介

【6期】2015年春修士課程修了

テイントン(近藤) 由衣子

ていんとん(こんどう) ゆいこ

昭和大学薬学部卒業後、慶應SDM修士課程に入学。修了後、外資系ヘルスケアエージェンシーに入社、医薬品のブランド戦略やメディカルコミュニケーションに携わる。その後、調剤薬局にて薬剤師として従事し、かかりつけ薬剤師推進のプロセスデザインを担当した。現在は医療政策シンクタンクである日本医療政策機構にて「医療システムの持続可能性とイノベーションの両立」「薬剤耐性菌」「非感染性疾患(NCDs: Non-Communicable Diseases)」をテーマとした、マルチステークホルダー結集型専門家会合の企画実行、政策課題の抽出、政策提言、アドボカシー・広報活動に取り組む。このほか、調剤薬局で非常勤薬剤師として勤務している。

研究タイトル

「高血圧症を対象としたヘルスリテラシー向上のための疾病進行認識システムの設計と評価」

研究の概要

日本で患者数の最も多い高血圧症を対象に、疾病の進行ステージにおけるユーザーの血圧状態を可視化し、医療従事者とのコミュニケーションを促進する「疾病進行認識システム(ヘルスリテラシー向上システム)」の設計と評価を行った。Requirement Verification Traceability Matrix (RVTM)を用いてシステム設計を評価し、さらに、高血圧症にカスタマイズしたHLS-14やシステム使用後インタビューより、本システムがFunctional Health Literacy (HL)、 Communicative HLを向上し、限定的なCritical HLの向上を行うことを確認した。

SDM的ポイント

ヘルスリテラシーは、文字の読み書きなどの基本的な能力(Functional HL)、異なるコミュニケーションから情報を引き出す・適応する能力(Communicative HL)、情報を批判的に分析し、その情報を生活上の出来事や状況に活用する能力(Critical HL)の段階的な3つのレベルに分類される。Functional HLに注目した研究が多かった中、本研究ではCommunicative HLおよびCritical HLに着目した。システム設計にあたり、ユーザーのヘルスリテラシー向上を妨げている原因や、その原因を取り除く機能を明らかにした。これらを元にRVTMを用いて本システム設計が要求を満たしていることを確認し、さらに、本システムがCommunicative HL、Critical HLの向上に寄与することを明らかにした。

慶應SDMで学んだことが
今の自分にどう役立っているか

慶應SDMでは、座学、グループワーク、研究を通じて「俯瞰的な視点・考え方」と「複雑・大規模システムを構築する基礎スキル」を学びました。神武研では先生をはじめ、良い仲間と環境に恵まれ、質の高いディスカッションや多様な研究・プロジェクトへの関わりを通じて、考え方の引き出しや幅が広がり、大きく成長することができました。現在従事している日本医療政策機構では、市民主体の医療政策実現のために「マルチステークホルダーによる平場の議論」を重要視しています。複雑・大規模な医療政策の課題に対するマルチステークホルダーの意見や議論を取りまとめ、社会に政策の選択肢を提供するためにSDMと神武研での学びや経験が役立っています。

近況報告

喫緊の医療政策をテーマとした、マルチステークホルダーを集めた専門家会合を開催した際のワンシーン。医療政策について薬学系大学で講演することもあります。
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