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【3期】2012年春修士課程修了

岩澤 ありあ

いわさわ ありあ

慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。専攻は電波天文学。サイエンスのみならずエンジニアリングも学びたいと思い慶應SDM修士課程に進学。三菱電機株式会社鎌倉製作所で衛星の誘導制御系ハードウェア設計製造業務に3年間従事後、衛星を利用したサービス研究の教育事業を推進する神武研究室に研究員として戻る。プロジェクトマネジメントの実践を経験するために、事務局として小学生から大学院生までを対象とする文部科学省や国立研究開発法人科学技術振興機構が支援する教育プロジェクトに5年間従事。アイデアを社会実装する現場に戻るべく、現在は株式会社アストロスケールで誘導航法制御(Guidance, Navigation, Control)分野のエンジニアとして勤務中。

研究タイトル

「大規模システムへの技術導入における技術選択を支援する意思決定手法」

研究の概要

研究の動機は、衛星や飛行機や自動車の配線(ハーネス)をどうしたら少なくして無線化できるかということに興味があったこと。もっと実装をシンプルにできないかと考えていた。そこから、どのようにしたら新しい技術を従来のシステムで使われていた技術と置き換えることができるのか、新しい技術に対して人の不安を軽減する手立てはないのかと考えるようになった。最終的に、最適化工学という数学理論を用いて、複数提示される設計案から質問を繰り返して一つの設計案に絞り込む手法を検証した。

SDM的ポイント

本研究は、日本の指導教官であった神武直彦教授と短期留学先の米国パデュー大学航空宇宙工学科のWilliam Crossley教授と協働で進めた研究であることが特徴。大規模システムへの技術導入という壮大なテーマを定量的に評価できる「トラス構造における金属材料選択の問題」として捉え直して研究を行なったことがポイント。従来の工学部系研究室であると教授あるいは先輩から研究テーマを引き継ぐことも多いが、SDMで研究を行う良さは研究テーマを自ら設定できること。自由と引き換えに責任も増してとてつもなく大変だが、自らがもつリソース(お金・時間・人・設備や機材)を考慮して研究をデザインできることがSDMの長所であると思う。

慶應SDMで学んだことが
今の自分にどう役立っているか

学べる環境や機会は当たり前ではないと考えられるようになったことがSDMでの成長です。研究員として研究室に戻った後は、プロジェクトの提案書を書いたり、予算編成を行ったり、報告書を書いたり、留学生の渡航ビザの申請を手伝ったり、経理を担当する研究支援課の方々と業務を進めたり、学生さんが研究に邁進できるように研究費を確保したり、研究を支援する作業に多く携わりました。自身が学生だった時、教育を支えるためにこんなにも縁の下の力持ちとして働いてくださっている方々がいたのかと驚きました。このような経験からプロジェクト全体の目的から見た時の自身の役割を考え、一歩引いて物事を俯瞰する力が身に付いたと思います。

近況報告

大空のキャンバス(1)。オーストラリアで撮影。休みの日は趣味のグライダー飛行を楽しんでいます。グライダー(滑空機)にはエンジンが付いておらず、自然の上昇気流の力だけで空を自由自在に飛び回ることができます。環境に優しいスカイスポーツです。
私の活動はaerospacegal.comで発信中です。私自身が空を飛ぶ方法を探していた時、グライダー飛行の世界に導いてくださり、出会いから約10年後に本も一緒に執筆するようになったのはSDMで出会った社会人学生の方です。SDMには修了後も続く刺激的な出会いがたくさんあります。バックグラウンドが異なる学生が集まるからこそ、その中で個性を見つけ輝かせることができます。ぜひご興味のある方はSDMの門戸を叩いてみてください。
大空のキャンバス(2)。オーストラリアで撮影。これからも日本のジェネラルアビエーション(スカイスポーツなど、ごく一般の人でもフライトを楽しめる世界)の文化を豊かにする活動に励んでいきたいと考えています。
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